ゲームレビュー「カエル畑DEつかまえて・夏 千木良参戦!」

 

1、基本データ

2、あらすじ・概要

3、もうひとつの物語「アナザー」

4、本編エンディングのその後「アフター」

5、そして、「彼」との物語 ※ネタバレあり

6、続編希望!

7、製品紹介

※PS2版のレビューです。


 

1、基本データ

 

「カエル畑DEつかまえて・夏 千木良参戦!」

 プレイステーション2 201012月発売

 プレイステーションポータブル 20116月発売

 プレイステーションVita 20155月発売

 

 Vita版ではエンディング後の追加エピソード7本、PSP版の配信イベント、過去作の特典ドラマCD5編が楽しめる。

 

 製作:TAKUYO

 シナリオ:白鳥ユアン、井上愁  原画:ヒロセ アヅミ

 CERO:B

主人公:菅野風羽(名前変更可能)、声なし

 それ以外のキャラ:フルボイス

 主な声優:杉山紀彰、岸尾だいすけ、入野自由、代永翼、真殿光昭、小西克幸、岡本寛志、鳥海浩輔

 


 

2、あらすじ・概要

 

「カエル畑DEつかまえて」の続編、というかファンディスク。

 データ引継ぎとかはありませんが、内容は「カエル畑」本編を遊んでいることが前提です。これ単独で遊んでも多分わからないと思う。

 

 スタートボタンを押すと、「物語選択画面」に移行。

「アナザー」「アフター」「???」「ミニゲーム」の中から、どれを遊ぶかを選びます。

 

「アナザー」は、もし「カエル畑」本編で誰とも恋人同士にならず土地浄化を続けていたら……という、もうひとつの物語。

 

「アフター」は、「カエル畑」の攻略キャラ6人とのエンディング後のお話。

 

「???」は最初選べません。条件を満たすとひらきます。

 

「ミニゲーム」はブラックジャックとポーカー、ちょっと変わった落ちゲーの3種類が遊べます。

このうちブラックジャックとポーカーは「カエル畑」キャラとの対戦形式となっており、勝利することで、各キャラのイメージイラストがゲットできます。

 

 基本的なシステムは変わらず。ミニゲームはなしで、会話と選択肢のみのアドベンチャー。

 

 嬉しかったのは、音声付きで名前を呼んでもらえるようになったこと(デフォルト名「菅野風羽」のみ。機種問わず)。

 法月先輩の「スガちゃん」や戸神先輩の「風羽!」が聞けたのはよかったなあ。

 


 

3、もうひとつの物語「アナザー」

 

季節は7月末。

 月宿という土地を巡る問題も特に進展がないまま、浄化活動を続ける月蛙寮の面々。

 若者らしい「夏休みの予定」がないことを周囲に哀れまれた(笑)のがきっかけで、寮のメンバー+千木良先輩で海に行くことになります。

 

「カエル畑」本編と違い、攻略にミニゲーム等は必要ありません。

 会話を読み進み、選択肢を選ぶだけ。

 なのですが……この「アナザー」、意外や攻略が難しかったです。いや、管理人だけかもしれないけど(笑)。

 

 ミニゲーム等がない分、好感度を上げる手段は選択肢のみ。

とある条件を満たせば、好感度の増減を確認できる「好感順位」機能がひらくのですが、そこに行くまで長かったこと。

 狙ったわけでもないのに、個別のバッドもけっこう回収できちゃいました。

 

それというのも、上記の機能がひらく条件というのが、「アナザー」の「共通バッドエンド」を見ることだったのですね(個別のバッドでは不可)。

てっきりグッドエンドに辿り着かなきゃひらかないものだと思い込んでいたため、えらく回り道しました……。

 

 みんなで海へ一泊旅行、までの短い期間が共通ルート。

 その間に出現する選択肢の選び方によって、各キャラ個別のルートに分岐する仕組みです。

 

 個別ルートは、そう長いものではありません。「カエル畑」個別ルートの半分くらい……かな?

本編と違い、「月宿という土地を巡る問題」に煩わされることなく、各キャラとの恋愛を楽しむ感じにしようとした……のかもしれませんが……。

 

けして長い話ではないのに、一から恋人同士にしようとしているためでしょうか。

ちょっと駆け足というか、各キャラの魅力も、恋愛過程の描き方も中途半端で、個人的にはイマイチ……でした。

 

まあ、よかった点もあったけどね。

ひとつは、広瀬の面倒くさい性格が、より理解できたこと(笑)。

よく「葉村と似た者同士」みたいに言われるけど、葉村の面倒くささが生い立ちや環境が原因なのに対し、広瀬の場合は、本人の性格及び体質に起因してるんですよね。

つまり後者の方が、だいぶ根が深いと(笑)。

いや、本当に。広瀬のねじくれ方に比べたら、葉村なんて可愛いもんですよ(笑)。

 

あと、戸神ルートで、彼がヒロインを「師匠」に紹介しようとするシーン。

詳しくは書きません。ただ、彼の「師匠」ファンには間違いなく必見のイベントです(笑)。

 


 

4、本編エンディングのその後「アフター」

 

 攻略キャラごと、全6種類。

ヒロインと攻略キャラ+αでお祭りに行く、という基本は同じですが、ルートごとに色々工夫があって、楽しめました。

 

こちらも、さほど長い話ではありません。文章を読むのが極端に遅い管理人が、各ルート1時間弱でクリアできました。

しかしながら、本編終盤で説明が駆け足になっていた部分も補足し、米原先生と幼なじみのこと等、気になっていた部分もちゃんとフォローしてくれて、かなり満足度の高い内容でした。

法月ルートではちゃんと千木良が活躍してくれるし、ファンが期待する部分をわかってくれてるなあ、という感じ。

 

 唯一、不満点を上げるならば。

 ……恋愛色はさほどなくてもいい。千木良先輩と2人でお祭りに行くルートがあったなら。

 あの2人にとっては地元だし、ある意味、特別な場所じゃないですか。

 真相ルートクリア後に、そういうオマケがあったら、最高だったんだけどなあ……。

 


 

5、そして、「彼」との物語 ※ネタバレあり。

 

 以下、千木良メインの感想(「アナザー」+「???」)になります。

 まずは「アナザー」の方から。

 

「千木良先輩が普通の服着てる!」

 

とは、広瀬ではなく、プレイヤーの心の声でした(笑)。

 てか、なんでジャージ着てないんですか、先輩(泣)。

もちろん普通の服も制服も似合うけどね。ジャージ着た先輩と恋愛したかったよう(なんでだ)。

 

 前述したように、「アナザー」の方では、なかなかグッドエンドに辿り着けなかったんですけど。

管理人は、千木良ルートの場合、バッドエンドの方が実は好きだったりします。

 なんか、「アナザー」の先輩は、着てるものに象徴されるように(笑)、あまり先輩っぽく見えなくて。

 真相ルートをやってから見ると、千木良って内面は確かにこうだよな、って納得できる部分もあるんだけど、「アナザー」は短い分、途中をすっ飛ばして内面だけ見せてる感じで、しっくりこなかったんです。

いわゆる「甘さ」でいうなら、「アナザー」の方が上なのかもしれない。管理人は千木良ファンだし、そういうイベントが嬉しくなかったわけじゃないけど……ただ、そう簡単に本心見せてくれるようなキャラじゃないはず、という違和感がぬぐえなくて。

 

 だからこそ、バッドエンドのオチが嬉しかったんです。

それでこそ千木良だー!って思った。

あの突き放し感、最高です(笑)。それに、あのシーンでは、ちゃんとジャージ着てるし(しつこい)。

 乙女ゲーに限らず、バッドエンドで手を叩いて喜んだのなんて初めての経験ですよ。

個人的には、「アナザー」の彼は本物ではなく、バーチャル・千木良先輩です(笑)。そう思わせてください。

 

次に「???」ルートの感想。

こちらは、「カエル畑DEつかまえて」の真相ルートです。「アフター」を全員分、見ることでひらきます。

 過去、月宿で何が起きたのか、烏天狗のこと、ヒロインの家のこと、本編で明かされなかった謎が明らかになります。

 もしも「カエル畑」本編でヒロインが選んだ相手が千木良だったら……というルートでもあります。

 

 この「カエル畑DEつかまえて・夏 千木良参戦!」のメインと言ってもいいでしょう。

 1番長いし、かつ、おもしろい。

 内容も、「カエル畑」本編を大幅に補足するものになっているため、「こっちが本編だろう!」とネットでも言われていたり。

 

 で、その真相ルートの中身。

 こっちの千木良先輩は、しっかり「らしい」感じです。

 人の嫌がることを喜び、他人を翻弄して楽しみ、ヒロインも周囲も振り回す。

 いや、おもしろいおもしろい。

 

 例えば、物語の冒頭、2人で甘味処に入るシーンがあります。

 そう、「カエル畑」本編でたびたび登場していたあの店。

 千木良先輩と来れたらいいのに……と、実はひそかに夢見ていた場所だったので、開始早々、それがかなったことにまず小躍りしました。

 しかも、恋愛イベといえば王道の「あーん」まで、さりげなくこなしてくれるし!

 

 千木良「ほれ、さくらんぼやるわ。口あけ」(おざなり)

 風羽「(あーん、……もくっ)」(素直)

 千木良「おまえはツバメの雛か」(声が楽しそうだ)

 風羽「(……ごく)ごちそうさまでした。ちなみに私は菅野です」(真顔)

千木良「わかっとるわ」(あきれ)

風羽「お礼に私の白玉を差し上げましょう。『あーん』してください」(真顔のまま、すごいこと言い出した)

千木良「…………」(短い沈黙)

千木良(お店の人に)「すんません、さじひとつくださーい」

 

 このそっけなさ!

 相手には微妙に恥ずかしいことさせておいて(風羽ちゃんは全然恥ずかしがってないけども)、自身はあっさり拒否。

 真相ルートを作った方は、先輩のよさをちゃんとわかってくれていらっしゃる。

 そう、千木良先輩は、簡単には落とせそうにもないからこそ、いいのです!(力説)

まさに「追いつけないから、追いかけたくて」。

 

 まあ、そんな感じで、おもしろいけど、甘さはさほどないかもしれません。

 ただ、ドキドキはします(笑)。本心を隠すのが上手な彼と、まっすぐ過ぎて色々ズレてるヒロインの微妙な駆け引きに、ハラハラもします(笑)。

 乙女ゲーの王道とはだいぶ違いますが、相手が千木良先輩で、ヒロインが風羽ちゃんですからね。個人的には、こっちの話の流れの方が断然あっていると思いました。

 

この真相ルートは、ストーリーにボリュームがある分、他キャラの伏線もある程度、回収してくれます。

 2人以外のキャラも空気にならず、ちゃんと存在感を発揮していたところもよかったと思います。

 

 伏線や謎が全て解消されるってわけじゃないけど、月宿の問題を解決して、だいたい落ち着くべきところには落ち着く感じ。

なので、この「真相ルート」こそ、「カエル畑」の本編なんじゃないかというネットのご意見は、あながち間違いではない気がします。

 てか、オチからして既に、この「カエル畑」のメインは千木良だって言ってるようなものだし(笑)

 

 欲を言うなら、ヒロインの恋心がぐっと伝わるような描写がほしかったな。

 水の鎮魂祭のイベントとか、まっすぐで強い思いは十分、伝わったけど……それだけじゃなく、不安とか心の揺れとか、そういう部分も見せてほしかったかな、と。

 

 真相ルートでも、結局、最後まで「ブレない、動じない」風羽ちゃんで、それは非常に「らしい」と思いました。

でも、相手を好きになるほど、不安も大きくなるのが恋愛だと思う。

 風羽ちゃんは人一倍、心の熱い子だし。

相手を想うあまり、心揺れてしまう、そんな彼女の姿が見てみたかった。

 

 こんなことを言うのは、あの2人が普通に恋愛するというのが、実はおそろしく大変なことだと思うから。

 単に風羽ちゃんが色々なものをあきらめればいいってだけの話じゃないと思う。

 そもそも生きる世界が違います。もっといえば、存在自体が違い過ぎるとでもいうか。

 この先、何らかの障害が現れた時(すぐに思いつくのは、「同族の敵」ですが)、ヒロインに果たして何ができるか……って考えるとね。結局、ただ守られるだけということにもなりかねないわけで。

 

 逆に、彼の立場から見れば、風羽ちゃんの存在はあまりに儚く小さなもの。

 このまま自分の世界に連れて行っていいのか、という葛藤は常に持っているはず。

しかも、その気になれば「全部なかったこと」にしてしまうだけの力があるわけですからね。あの優しい彼が、迷わないはずがない。

 

 そういう彼の手をしっかりと離さずに、守られるだけの状態に甘えずに、ちゃんと支えていける存在になれるか。

風羽ちゃんは大人ですから、多分、色々わかった上で選んでるんだと思うけど、あまりに描写があっさりしているので、うまく伝わってこないんですよね。

 

この「恋」が、あの人を不幸にするかもしれない。

そういう現実の厳しさも、不安や葛藤もちゃんと見せた上で、「それでも離れたくない!」っていう熱い想いを描いてほしかった。

 

 これはまあ、彼のルートに限らない話ではあります。

「ブレない、動じない」は「菅野風羽」という乙女ゲーではなかなか類を見ないヒロインの個性ですから、当然、大事にしてほしいと思います。

そこを生かしつつ、恋の葛藤もまた描いてほしいという……欲張りな話ですが、「カエル畑」がより魅力的な作品になるためなので。

 

 もしも続編があるなら、恋に迷ったり、悩んだり、自分の気持ちを持て余したりする風羽ちゃんの姿を是非。

 


 

6、続編希望!

 

「カエル畑」本編は、楽しみつつも満足しきれないものを残して終わり、「カエル畑・夏」を遊んで、千木良と風羽に全部もっていかれた(笑)。

いや、予想以上によかったです。

あの2人の関係が気になって仕方ないし、この先の物語も見たい。

で、結論としては、続編希望!となるわけです。

Vita移植もかなったことですし、「カエル畑・秋」とか、「カエル畑・冬」とか、是非作ってほしい。

 

 お話自体は、「カエル畑」本編+「カエル畑・夏」の「アフター」、さらに「真相ルート」の結末2本を加えて、一応、8通りの終わり方をしてるんですよね(「アナザー」については、あくまでifストーリーということで除外)。

 最初から恋人状態で始まるのもアリだと思うけど……、それぞれの続きを作る、ってなるとゲームとしては成立しにくいのかな。

 ただ、どんな形であれ、「月宿の問題」は解決した状態でないと、また同じことを繰り返さなきゃならなくなりますよね。

 

「真相ルート」の大団円エンドの続き、ってのもありか。

あれなら誰ともくっついてないし、月宿はひとまず平和になってるし。

 

季節は流れて秋……。

ヒロイン+月蛙寮のメンバーが再び何らかの事件に巻き込まれ、閉ざされていた記憶が呼び起こされる……みたいな感じで。

 よその土地の主とか、風羽ちゃんの家族のこととか、烏天狗の「体制」のこととか、おもしろそうなネタはまだまだあることですし。

 

 システムの方も、特に前作と同じ形にこだわる必要もなく。

むしろ「カエル畑」という魅力的な素材を生かしてくれるなら、新しい形にどんどんチャレンジしてほしいですね。

 最近の乙女ゲーでは、いわゆる「個別ルート」があるのが普通ですが、管理人は複雑な話や人間関係が好きなので、「同一時間軸上で、複数のキャラのイベントをこなす」タイプのシステムでも、嬉しく思います。

 

 最後に、この「カエル畑」は管理人にとっては実に久しぶりに、「遊んでよかった」と心から思える作品でした。

 今しばらくはプレイ後の余韻に浸りつつ、「カエル畑」の続編、待ってます。

 


 

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